近代文学と現代社会

 近代文学は鴎外や漱石や二葉亭などによって受容され、翻訳された。文学に限らず欧米にならえと教えられた日本人は昼夜を分かたず努力をした。まずその文体を習得するのに努力を要した。明治以前の文体は漢文が主流であった。中国の学問(諸子百家の学問)を摂取した日本人は自らの思考様式を漢心に寄せていった。時代は欧米式の思考を求めていた。立憲主義国民国家、紳士、徴兵制、デモクラシー、欧米の波は否応が無しに日本に押し寄せた。

 日本が欧化を推進したのはペリーが浦賀やってきたことと無関係でない。この時の志士達は中国などの国がイギリスなどによって食い物にされ、衰退を強いられていることを認識していた。高杉晋作は中国に行ってその市井の民が阿片中毒になっているの惨状を見て危惧を抱いた。欧米は確実にアジアを手中に収めようとしていた。

 

 狂熱の時代は過ぎ去った。