上機嫌でいるために

 内田樹の「街場の共同体論」を読んだ。 

 この人の思想の白眉は何だろうかというと、私にとっては師弟論である。つまり上機嫌で生き延びるためには私たちは学びを起動し続けなければならない、ということが書いてある。夏目漱石の「それから」にでてくる先生は学びの意欲を失った廃人である。今上機嫌な先生って、(まぁ先生に限らず)中々いない。機嫌よく生きるって中々難しい不機嫌な人間がいるということは周りにもそれを伝染させ、パフォーマンスを下げる。

 近代になって師弟関係というものがなし崩しになった。それは時にいい結果を生み出した時もあったし、あまり芳しくない結果をもたらしたりした。例えばお笑いやロックの世界では、ダウンタウンが弟子入りせずに、吉本興業の養成所に入って、師匠なくとも成功することを証明した。ダウンタウンにとっては師弟関係が形骸化したシステムとして写ったのだと思う。

 内田氏は